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つるぞのちゃんのチャメブログ

茶目っ気たっぷりのブログだからチャメブログ♡世間の常識から逸脱してゆるりゆるりと生きていくための浮世離れ的ライフスタイルを提案します!

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目をそらしたくなるのにどこか懐かしい。川上未映子・初の短編集「愛の夢とか」

読んだくれ(書籍紹介)

に勧められて川上未映子初の短編小説『愛の夢とか』を読みました。

これまでにも『ヘヴン』『すべて真夜中の恋人たち』それから詩集『水瓶』など、彼女の作品はいろいろ読んできましたが、今作も未映子さんらしい独特の世界観に惹き込まれました。

 

  • アイスクリーム熱
  • 愛の夢とかいちご畑が永遠につづいてゆくのだから
  • 日曜日はどこへ
  • 三月の毛糸
  • お花畑自身
  • 十三月階段

 

それにしても、短編集が初めてというのは意外でした。

情熱大陸に出演しているときに(当時『ヘヴン』執筆中)、「長編を書くのに慣れていない」という理由ですごく苦戦されていたので、勝手に「短編の人」というイメージになっていました。

そういえば、短編集読んだことなかった! 「中編の人」だったんだね!

 

以下、収録作品のうち3作品をピックアップして感想など載せています。

ネタバレを含むのかもしれないのでご注意下さい。

(ネタバレの定義がイマイチわかりません!)

 

 

アンバランスさに興味を惹かれる「アイスクリーム熱」

イスクリーム屋で働く主人公と、そこに毎回決まったペースで決まったアイスを買いにくる男の人との交流を描いた物語。

主人公たちいい大人なのに、恋愛の仕方はまるで思春期の少年・少女みたいだった。

「アイスクリームが作れる」と嘘をついてやや強引に彼の家に遊びに行った主人公は、なんとかアイスを作ろうとするができあがったのはどろどろの粥みたいな代物。

明らかに嘘をついたことがバレバレなのに、主人公も男も黙ってそれを食べている。そして何も反応しない。

結局、どろどろアイスを召喚したあと、男はぷっつりと顔を見せなくなるのだが……果たして彼は何のだめに彼女を家にあげのか。姿を消したのは、彼女の嘘を不快に感じたからか、あるいはアイスクリームそのものに失望したのか。

毎回、しばらく黙り込んでから返事をしているから、決して流されやすいわけでもないのだろうし、男が何を考えていたのかがよくわからない。

このお互いに自己完結的な感じが初々しくて、三十代前後(主人公の年齢不明・男性は三十三歳)という年齢との間にギャップを感じた。

好きな人の気を惹くためにすぐにバレる嘘をついてしまうところとか、その嘘がバレたときの何とも言えない微妙な雰囲気とか、せっかく勇気を出して関係を進展させたのにそこからどうすればいいのかモジモジしているうちに不完全燃焼のまま謎を残して終わってしまうところとか、若いころに誰もが経験したことがあろう恋の苦々しさを凝縮したような作品だった。

うつくしい思い出の続きなんて見たくないなと感じた「日曜日はどこへ」

ある作家の死から物語は始まっていく。

かつての恋人・雨宮くんと、「その作家が亡くなったらたとえお互い別のパートナーがいても必ず会おう」と約束した主人公は、約束の植物園へと足を運ぶ。

何年も昔に交わした曖昧な約束に浮足立ってしまうくらい、他によるべのない主人公を痛々しいと感じながらも、なぜか目をそらしたくなる作品だった。それはつまり、わたしの中にも彼女と同質のそれが眠っているということだ。

うつくしい思い出ほど続きを求めない方がいい。

なんてことを考えさせられた作品だった。

 

ツンくんには元カノや昔好きだった(好かれてた)子との間に、現在も有効な約束ってあるんだろうか。

そんなことを考えてしまうと、ほんのり胸が痛んだりして。

ちなみにわたしは、ある男の子に絶対にお金を返してもらう約束をしていたけど、ツンくんと付き合ったときに無効にした。唯一の約束がそれってorz

そういえば、高校生のときに付き合っていた恋人は、「二十歳になったら迎えに行くって元カノに言われてる」なんて言っていたな。

切なげ(に見える)顔でそれを言われたときのアウェイ感ったら('ω')

そんなこんなで読んでいていろんな過去の傷をえぐられました(/・ω・)/

 

帰りの電車の中で「眠って起きたらどこかまったく別の場所ならいいのに」とありえない期待をしてしまう彼女は、きっと自ら閉じこもっている閉塞的な世界から抜け出す方法がわからなくてもがいている最中なんだと思う。

かつてのわたし自身と同じように。

 

出産を間近に控えた女性の心理を鋭く描いた「三月の毛糸」

妊娠八カ月の妻とその夫が、「子どもが産まれて動けなくなる前に」と京都旅行をする話。

心配性でなんでも悪い方向に想像してしまう妻は、ホテルのベッドで眠っている間に夢を見る。そこはなんでも毛糸でできている世界で、嫌なことや危険なことがあったらいったんほどけてやり過ごすのだという。

子どもを産めばもうなかったことにはできない。そんな取り返しのつかないことへの恐怖心と、そうでないものを求める心理が、失敗したら何度でもほどいて編み直せる毛糸への憧れとして描いたのだろう。

出産を前に苛立っている妻とそれに対して嫌気が差し始めている夫との間に孕む緊張感が読んでいて息苦しかったけれど、この「毛糸の世界」という発想がとても気に入った。

あと、「アイスクリーム熱」といい、この作品といい、未映子氏の作品はタイトルが素敵。

 

さいごに

から一日だけ借りて気になるタイトルだけ読んだので、その他の作品は読んでいません。たまにはこういう読み方もいいかなって。

 

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